Harmoniemusik (管楽アンサンブル)というもの
管楽アンサンブルによる「フィガロの結婚(ヴェント編曲)」をかつて愛聴していたことがある。思えばこれが「フィガロ好き」になったきっかけだった。1970年代の中学生時代のモノのラジカセによるFM放送のエアチェック。まだその頃のカセットテープは実家の押入れかどこかにあるだろうか?当時は、「フィガロの結婚」についての知識もほとんどないながら、アナウンサーの「ヴェント編曲によるフィガロの結婚」というナレーションまで録音してあったため、記憶に強く刻まれている。思えば、面白いオペラ入門だった。
さて、190枚全集には、モーツァルト自身の編曲らしい(K Deest:ケッヘル番号なしになっているのかどうか未確認だが) 「後宮からの誘拐」の
Harmoniemusik nach Die Entführung aus dem Serail K 384 (序曲を含めて全18曲)が収録されていた。たぶんこのYoutubeの Bläserensemble Sabine Meyerと同じもの。
https://www.youtube.com/watch?v=I61IP7fldvA
歌詞が無い器楽のみの方が聴きやすい。
このほかに、
Johann Georg Triebensee (1772-1846、作曲家、オボイストで、アルブレヒツベルガーの作曲の弟子なのでベートーヴェンの相弟子にあたる)の編曲による「ドン・ジョヴァンニ」(同13曲)と 上記のJohann Wendt(1745-1801、作曲家、イングリッシュホルニスト、オーボイスト) の編曲による「後宮からの誘拐」(8曲)が収められているが、我が懐かしの「フィガロ」は収録されていなかった。
Youtube をあたったところ「フィガロ」のハルモニームジークが数点あったのは、便利な世の中になったものだと思う。
◆The Bratislava Wind Octet のもの:
https://www.youtube.com/watch?v=Yt3vzvXQfGM
編曲者不明。記憶の演奏と少し編曲が違う気がする。
◆Zefiro Ensemble(Arranged by Alfredo Bernardini)というのも見つかった。
(1/2) https://www.youtube.com/watch?v=USJslsQhS-c
(2/2) https://www.youtube.com/watch?v=XzADjCpIz3g
こちらの編曲者Alfredo Bernardini。このアンサンブルのメンバーらしい。
それでも、ヴェント編曲のフィガロをGoogleで探してみるとそれなりにヒットはする。
◆楽譜情報が見つかった。
http://trove.nla.gov.au/work/6131791
http://catalogue.nla.gov.au/Record/1418867
オーストラリアの楽譜情報
------
Marriage of Figaro / [by] W. A. Mozart ; arranged by Wendt for 2 oboes, 2 clarinets, 2 bassoons & 2 horns. [music]
Bib ID | 1418867 | ||
---|---|---|---|
Format | Music | ||
Author |
|
||
Uniform Title | Nozze di Figaro. Selections; arranged | ||
Description | London : Musica Rara, [c1975] Score (2 v.) and 8 parts ; 31 cm. |
||
Notes |
Cover title. Includes bibliographical references. |
||
Subjects | Wind octets (Bassoons (2), clarinets (2), horns (2), oboes (2)), Arranged - Scores and parts. | Operas - Excerpts, Arranged. | ||
Time Coverage | 1786 | ||
Other authors/contributors | Wendt, Johann, 1745-1801 | ||
Music Publisher Number | M.R. 1825 |
-----
◆「管楽器による室内楽への注釈付きガイド」という本
An Annotated Guide to Wind Chamber Music
には、1971年にJack Brymer 指揮の London Wind Soloists による録音が Musical Heritage Society MHS7019というLPで発売されている、と書かれていた。
年代的に、1970年代中旬にエアチェックできたのはおそらくこの録音だろうと思う。
探してみると、中古LPでは入手可能らしい
http://www.musicstack.com/item/5540461
http://www.discogs.com/London-Wind-Soloists-Jack-Brymer-Wolfgang-A-Mozart-Le-Nozze-Di-Figaro-For-Wind-Ensemble/release/3973519
Tracklist
A1 Overture
Act I
A2 Cinque, Dieci
A3 Se A Caso Madama
A4 Se Vuol Ballare
A5 Non Piu Andrai
Act II
A6 Porgi Amor
A7 Voi Che Sapete
A8 Venite Inginocchiatevi
Act III
B1 Crudel! Perche
B2 Riconosci In Questo
B3 Dove Sono
B4 Che Soave
B5 Ecco La Marcia
Act IV
B6 Deh Vieni, Non Tardar
B7 Pian, Pianin
Credits
Arranged By Johann Wendt
Conductor Jack Brymer
-----
それにしても、ハルモニームジークの響き。伸びやかでお気楽な気分で、とてもくつろげる。
モーツァルトやベートーヴェンの時代には、作曲者自身や同時代の音楽家の手によりこのようなリダクション(縮小編曲)が数多く作られ、これらが遠隔地等での音楽の紹介、普及に役立てられたらしい。
ただ、ヴェントの編曲の「フィガロ」もそれなりに録音はされてはいるようだが、ネット情報を見てもそれほど顧みられてはいないようだ。Imslpにもヴェント編曲の「フィガロ」は登録がなく、またNMLにも見当たらない。
デジタルコピー時代の現代には仕方がないのだろうが、このような楽しい編曲は忘れたくないものだ。
最近のコメント